Pandasと時系列データ
PandasはPythonのデータ分析ライブラリで、時系列データの操作に強力な機能を提供しています。PandasはDataFrameという2次元のラベル付きデータ構造を提供し、これを使って時系列データを効率的に操作することができます。
PandasのDataFrameは、各列が異なるデータ型を持つことができ、行と列のラベルを持つことが特徴です。これにより、時系列データを日付や時間でインデックス付けすることが可能となります。
Pandasは時系列データの読み込み、書き込み、変換、抽出、統計処理など、多くの操作をサポートしています。また、欠損データの補完や異常値の検出など、時系列データ分析に必要な高度な機能も提供しています。
次のセクションでは、Pandasを使用して時系列データから特定の期間を抽出する方法について詳しく説明します。この機能は、特定の期間のデータを分析する際に非常に便利です。例えば、ある年の特定の月やある日の特定の時間帯のデータを抽出することが可能です。これにより、時系列データの特定の期間に焦点を当てた詳細な分析を行うことができます。
期間を指定してデータを抽出する
Pandasでは、時系列データから特定の期間を抽出するための便利な方法が提供されています。これは、DataFrame
のインデックスが日付や時間である場合に特に有用です。
まず、pandas.date_range
関数を使用して特定の期間の日付範囲を作成します。この関数は、開始日と終了日(または開始日と期間)を指定することで、一連の日付を生成します。
import pandas as pd
# '2020-01-01'から'2020-12-31'までの日付範囲を作成
date_range = pd.date_range(start='2020-01-01', end='2020-12-31')
次に、この日付範囲を使用して、元のDataFrame
から特定の期間のデータを抽出します。これは、DataFrame
のloc
プロパティを使用して行を選択することで実現できます。
# date_rangeに含まれる日付のデータを抽出
selected_data = df.loc[date_range]
この方法を使用すると、特定の期間のデータを簡単に抽出することができます。これは、特定の期間(例えば、特定の年の特定の月)のデータを分析する際に非常に便利です。
次のセクションでは、この抽出したデータをどのようにリサンプリングするかについて説明します。リサンプリングは、データを異なる時間間隔(例えば、日次データを月次データに)に変換するプロセスです。これにより、データの異なる視点からの分析が可能となります。
時系列データのリサンプリング
Pandasでは、時系列データを異なる時間間隔でリサンプリングするための便利な方法が提供されています。リサンプリングは、データを異なる時間間隔(例えば、日次データを月次データに)に変換するプロセスです。
Pandasのresample
メソッドを使用すると、データを新しい時間間隔でリサンプリングできます。このメソッドは、新しい時間間隔(例えば、’D’(日)、’M’(月)、’Y’(年)など)を指定し、その間隔でデータをグループ化します。
# 日次データを月次データにリサンプリング
monthly_data = df.resample('M').mean()
上記のコードでは、日次データを月次データにリサンプリングしています。resample
メソッドは、新しい時間間隔でデータをグループ化し、その後、mean
メソッドを使用して各グループの平均値を計算します。結果として得られるmonthly_data
は、元のデータの月次平均を表します。
リサンプリングは、データの異なる視点からの分析を可能にします。例えば、日次データを月次データにリサンプリングすることで、月次のトレンドやパターンを観察することができます。
次のセクションでは、これらのリサンプリングされたデータをどのように集計し、分析するかについて説明します。これにより、時系列データから有用な洞察を得ることができます。
集計と分析
Pandasは、リサンプリングされたデータの集計と分析にも強力な機能を提供しています。これにより、時系列データから有用な洞察を得ることができます。
例えば、groupby
メソッドを使用して、特定の期間(例えば、各月や各四半期)ごとの平均、合計、最大値、最小値などを計算することができます。
# 月ごとの平均を計算
monthly_average = df.resample('M').mean()
# 四半期ごとの合計を計算
quarterly_sum = df.resample('Q').sum()
また、rolling
メソッドを使用して、移動平均や移動合計などのローリング統計量を計算することも可能です。これは、データのトレンドを滑らかにするためによく使用されます。
# 7日間の移動平均を計算
rolling_average = df.rolling(window=7).mean()
さらに、Pandasは相関、回帰、ヒストグラム、散布図などの高度な統計的分析もサポートしています。これにより、データのパターンや関係性を深く理解することができます。
以上が、Pandasを使用した時系列データの期間指定、抽出、リサンプリング、集計、分析の基本的な手順です。これらの機能を活用することで、時系列データから有用な洞察を得ることが可能となります。Pandasはその柔軟性と強力な機能により、データ分析の現場で広く利用されています。この記事が、Pandasを使用した時系列データ分析の一助となれば幸いです。