PandasとNaNの扱い
Pandasは、Pythonでデータ分析を行うための強力なライブラリです。しかし、実際のデータはしばしば欠損値(NaN)を含んでいます。Pandasでは、これらのNaNを特別な値として扱い、それらを適切に処理するための機能を提供しています。
NaNとは
NaNは”Not a Number”の略で、数値ではない値を表します。Pandasでは、データセット内の欠損値をNaNとして扱います。
PandasでのNaNの扱い
Pandasでは、NaNは浮動小数点型として扱われます。これは、PandasがNaNを表現するためにIEEE浮動小数点標準の特殊なビットパターンを使用しているためです。
Pandasのデータ構造(SeriesやDataFrame)では、NaNはどのようなデータ型でも使用できます。つまり、整数型、文字列型、ブール型のデータでも、欠損値はNaNとして表現されます。
NaNの検出
Pandasでは、isnull()
やnotnull()
といった関数を使用して、データ内のNaNを検出することができます。これらの関数は、各要素がNaNであるかどうかを示すブール値を返します。
以上が、PandasとNaNの基本的な扱いについての説明です。次のセクションでは、NaNを除外して集計を行う方法について詳しく見ていきましょう。
NaNを除外する集計関数の使用
Pandasでは、データの集計を行う際にNaNを除外するための便利な関数が提供されています。これらの関数は、データセット内のNaNを無視し、存在する値だけを対象に集計を行います。
集計関数とNaN
Pandasの集計関数(sum()
, mean()
, min()
, max()
など)は、デフォルトでNaNを除外します。つまり、これらの関数を使用してデータを集計すると、NaNは自動的に無視されます。
例えば、以下のようなデータフレームがあるとします。
import pandas as pd
import numpy as np
df = pd.DataFrame({
'A': [1, 2, np.nan],
'B': [4, np.nan, 6],
'C': [7, 8, 9]
})
このデータフレームの各列の平均を計算するには、mean()
関数を使用します。
df.mean()
このコードを実行すると、以下のような結果が得られます。
A 1.5
B 5.0
C 8.0
dtype: float64
ここで、A
列とB
列の平均は、NaNを除外した結果となっています。
agg()
関数とNaN
agg()
関数は、複数の集計関数を一度に適用するための関数です。この関数も、デフォルトでNaNを除外します。
df.agg(['sum', 'mean'])
このコードを実行すると、各列の合計と平均がNaNを除外した形で計算されます。
以上が、PandasでNaNを除外して集計を行う方法についての説明です。次のセクションでは、NaNを含むデータの集計結果とNaNを除外したデータの集計結果の比較について見ていきましょう。
NaNを含むデータの集計結果とNaNを除外したデータの集計結果の比較
Pandasの集計関数はデフォルトでNaNを除外しますが、NaNを含めて集計を行いたい場合もあります。そのような場合には、skipna=False
オプションを使用します。
以下に、NaNを含むデータとNaNを除外したデータの集計結果の比較を示します。
import pandas as pd
import numpy as np
df = pd.DataFrame({
'A': [1, 2, np.nan],
'B': [4, np.nan, 6],
'C': [7, 8, 9]
})
# NaNを除外した集計結果
print(df.mean())
# NaNを含む集計結果
print(df.mean(skipna=False))
このコードを実行すると、以下のような結果が得られます。
# NaNを除外した集計結果
A 1.5
B 5.0
C 8.0
dtype: float64
# NaNを含む集計結果
A NaN
B NaN
C 8.0
dtype: float64
NaNを含むデータの集計結果では、NaNが含まれる列の平均はNaNとなります。これは、数値とNaNを加算すると結果はNaNになるためです。
以上が、NaNを含むデータの集計結果とNaNを除外したデータの集計結果の比較についての説明です。次のセクションでは、これらの知識を活用して、実際のデータ分析にどのように役立てるかについて見ていきましょう。
まとめ
この記事では、Pandasライブラリを使用してNaNを除外した集計を行う方法について詳しく見てきました。以下に主なポイントをまとめます。
-
PandasとNaNの扱い: PandasはNaNを特別な値として扱い、それらを適切に処理するための機能を提供しています。NaNは”Not a Number”の略で、数値ではない値を表します。
-
NaNを除外する集計関数の使用: Pandasの集計関数(
sum()
,mean()
,min()
,max()
など)は、デフォルトでNaNを除外します。これらの関数を使用してデータを集計すると、NaNは自動的に無視されます。 -
NaNを含むデータの集計結果とNaNを除外したデータの集計結果の比較: NaNを含むデータの集計結果では、NaNが含まれる列の平均はNaNとなります。これは、数値とNaNを加算すると結果はNaNになるためです。
以上の知識を活用することで、実際のデータ分析において、欠損値を含むデータをより適切に扱うことができます。これらのテクニックを活用して、データ分析の精度を一層向上させていきましょう。この記事が皆さんのデータ分析の一助となれば幸いです。それでは、Happy Data Analyzing! <( ̄︶ ̄)>