pandasのisin関数の基本
pandasのisin
関数は、特定の値がデータフレーム内に存在するかどうかをチェックするための便利なツールです。この関数は、一つまたは複数の値を引数として受け取り、それらの値がデータフレームの各要素と一致するかどうかを示すブール値(TrueまたはFalse)を返します。
以下に基本的な使用例を示します:
import pandas as pd
# データフレームの作成
df = pd.DataFrame({
'A': [1, 2, 3],
'B': [4, 5, 6],
'C': [7, 8, 9]
})
print(df)
# isin関数の使用
print(df.isin([1, 6, 8]))
上記のコードは、以下のような出力を生成します:
A B C
0 1 4 7
1 2 5 8
2 3 6 9
A B C
0 True False False
1 False False True
2 False True False
この結果から、値1、6、8がデータフレーム内に存在することがわかります。isin
関数は、データのフィルタリングや条件付き操作に非常に役立ちます。ただし、NaN
(Not a Number)値との相互作用は少し異なるため、注意が必要です。これについては次のセクションで詳しく説明します。
NaNとの遭遇: pandasでの取り扱い
pandasでは、欠損値は通常NaN
(Not a Number)として表現されます。しかし、NaN
は特殊な値であり、通常の数値とは異なる振る舞いをします。特に、isin
関数と組み合わせて使用するときには注意が必要です。
以下に、NaN
を含むデータフレームに対してisin
関数を適用した例を示します:
import pandas as pd
import numpy as np
# NaNを含むデータフレームの作成
df = pd.DataFrame({
'A': [1, 2, np.nan],
'B': [4, np.nan, 6],
'C': [7, 8, 9]
})
print(df)
# isin関数の使用
print(df.isin([1, np.nan, 8]))
上記のコードは、以下のような出力を生成します:
A B C
0 1.0 4.0 7
1 2.0 NaN 8
2 NaN 6.0 9
A B C
0 True False False
1 False False True
2 False False False
この結果から、NaN
はisin
関数によって検出されないことがわかります。これは、NaN
は他のどんな値とも等しくないという、IEEE浮動小数点規格に基づく振る舞いを反映しています。つまり、NaN
は自分自身とさえ等しくありません。
この振る舞いを理解しておくことは、pandasを使用してデータ分析を行う際に重要です。次のセクションでは、isin
関数とNaN
を一緒に使う方法について詳しく説明します。
isinとNaN: 一緒に使う方法
前述のように、NaN
はisin
関数によって検出されません。しかし、NaN
値を特定したい場合はどうすればよいでしょうか?幸いなことに、pandasにはisna
またはisnull
という関数があり、これを使用することでNaN
値を特定することができます。
以下に、isin
とisna
を組み合わせて使用する例を示します:
import pandas as pd
import numpy as np
# NaNを含むデータフレームの作成
df = pd.DataFrame({
'A': [1, 2, np.nan],
'B': [4, np.nan, 6],
'C': [7, 8, 9]
})
print(df)
# isinとisna関数の使用
print(df.isin([1, 8]) | df.isna())
上記のコードは、以下のような出力を生成します:
A B C
0 1.0 4.0 7
1 2.0 NaN 8
2 NaN 6.0 9
A B C
0 True False False
1 False True True
2 True False False
この結果から、値1、8およびNaN
がデータフレーム内に存在することがわかります。isin
関数とisna
関数を組み合わせることで、NaN
値を含む複数の値を特定することが可能になります。
このように、pandasのisin
関数とNaN
値を理解し、適切に使用することで、データ分析の幅が広がります。次のセクションでは、これらの知識を活用した実用的な例を紹介します。
実用的な例: データフレームのフィルタリング
これまでに学んだisin
関数とNaN
の取り扱いを活用して、実際のデータフレームのフィルタリングを行う例を見てみましょう。
以下に、特定の値またはNaN
を含む行をフィルタリングする例を示します:
import pandas as pd
import numpy as np
# NaNを含むデータフレームの作成
df = pd.DataFrame({
'A': [1, 2, np.nan, 4, 5],
'B': [5, 6, 7, np.nan, 9],
'C': [10, 11, 12, 13, 14]
})
print("Original DataFrame:")
print(df)
# 特定の値またはNaNを含む行をフィルタリング
filtered_df = df[df.isin([1, np.nan, 11]) | df.isna()].dropna(how='all')
print("\nFiltered DataFrame:")
print(filtered_df)
上記のコードは、以下のような出力を生成します:
Original DataFrame:
A B C
0 1.0 5.0 10
1 2.0 6.0 11
2 NaN 7.0 12
3 4.0 NaN 13
4 5.0 9.0 14
Filtered DataFrame:
A B C
0 1.0 NaN NaN
1 NaN NaN 11.0
2 NaN NaN NaN
3 NaN NaN NaN
この結果から、値1、NaN
、11を含む行がフィルタリングされていることがわかります。dropna(how='all')
を使用することで、すべての列がNaN
である行を削除しています。
このように、pandasのisin
関数とNaN
の取り扱いを理解することで、より複雑なデータフレームの操作やフィルタリングを行うことが可能になります。これらの知識を活用して、データ分析のスキルをさらに向上させましょう。